「便利で安い」街に住んで気づいた、見えないコスト

前回、「便利で安いから」と家の購入に踏み切ってしまった、わたしの後悔した話を綴っていく、と書きました。

家の値段や、駅までの距離。 それは、もちろんチェックしました。 でも、その街に住んでいる人たちの 「空気感」 までは、見ていませんでした。

時の流れに任せて、その日を自由に生きている。 そんな人たちと付き合い、価値観を共有していると、肩の力が抜けて、気楽に過ごしていけます。 でも実はそれ、ゆっくり沈んでいく船に乗っているようなもの で、気づいたときには生活そのものが、じわじわとしんどくなっていく。

「自分は自分、人は人」と頭ではわかっていても、毎日の空気というのは、思っている以上に自分の中に入り込んできます。

今日は、わたしの実体験と、もし家を決めなおすなら確かめたい 「3つのこと」 を、書いてみたいと思います。

チェック①:スーパーで買い物をしている人の様子

引っ越して間もない頃、こんな出来事がありました。

レジに並んでいると、後ろから来た人に、カートで何度も足にぶつけられました。 レジの向こう側に知り合いがいるらしく、並んでいるわたしたちを押し除けて先に行きたかったようです。

でも「すみません」の一言もなく、意味のわからないことをブツブツ言いながら、カートで足にゴンゴン。

ふつうなら「ちょっと先に行かせてもらえますか」と一言伝えれば済むはずです。 「事情を話す」が思いつかない人がいるということを、目の当たりにした瞬間でした。

こうやって確かめてみる

候補の街で、その土地の人がよく行くスーパー に立ち寄って、実際に買い物をしてみてください。 平日の夕方など、地元の人で賑わう時間帯に行くと、その街の 「日常の顔」 が見えやすくなります。

買い物をしながら、ふと目に入ってくる人たちの様子。

  • 譲り合いがあるか
  • 後ろの人を意識した動きをしているか
  • 店員さんへの口調はどんな感じか
  • カートを戻す場所が乱れていないか

こんな何気ない場面で、住んでいる人たちの 「人間性」 が、ふっと顔を出すことがあります。

チェック②:道ですれ違う人たち

毎日の景色のなかで、地味に効いてくるのが、道ですれ違う人たちです。

  • 道を譲ってくれるか
  • 子どもや高齢者への目線がやわらかいか
  • 挨拶を返してくれるか

文字にすると、当たり前のことのように聞こえるかもしれません。 でも、こうした小さな振る舞いが 「全くない街」「当たり前にある街」 は、本当にあります。

こうやって確かめてみる

候補の街を、朝・昼・夕方の3回、ゆっくりと歩いてみてください。

  • 朝:通勤・通学の人たちの表情
  • 昼:買い物に出ている人たちの様子
  • 夕方:仕事帰りの人や、下校する子どもたちの景色

すれ違う人たちの中で、「あっ、嫌な感じ」と感じる人がどれくらいいるか。 これも、街によってはっきりと差が出ます。

チェック③:運転マナー

これは、家から一歩外に出た瞬間から始まる話です。

引っ越してすぐの頃、ドラッグストアの駐車場に車を停めていたら、いきなり横に車が突っ込んできて、ビールの缶を投げられました

相手はものすごく酒臭く、明らかに 飲酒運転。 怖さよりも先に「意味がわからない」が来ました。

ひとつのエピソードと言ってしまえばそれまでですが、こういうことが起きる街では、おそらく 運転マナー全体にも、似た空気 が漂っています。

こうやって確かめてみる

候補の街で、車を運転している人たちの様子を見てみてください。

  • 駐車場で、白線からはみ出して停まっている車が多くないか
  • 横断歩道で、歩行者のために止まってくれるか
  • ウィンカーをちゃんと出して曲がっているか
  • 道路や駐車場に、ゴミや空き缶が落ちていないか

ここは 「街の人の常識」が一番出やすい場所 です。 車のマナーが荒い街は、人のマナーも、たいてい同じ温度感になります。

街の空気感は、「見えないコスト」

家の値段は、誰にでも分かる「目に見えるコスト」です。

でも、毎日その街で吸い込む空気は、誰の家計簿にも載らない 「見えないコスト」 です。 住んでいる場所に、自分のエネルギーや時間を、少しずつ奪われている──気づかないうちに、そんな状態になっている。

便利で安い、というだけで決めてしまうと、このコストを見落とします。 わたしが見落としたのは、まさにそこでした。

家を決める前に、よかったら、この3つを試してみてください。 時間はかかります。でも、不動産は人生でそう何度もしない、大きな買い物です。 そこに長く住むつもりなら、街の空気感をじっくり確かめておく時間には、十分な価値があります

次回は、こうした街の空気が 子どもにどんな影響を与えるのか について書いていこうと思います。

街えらびを始めようとしている誰かの、小さなヒントになれたら、うれしいです。